「通態」とは
主体と環境のどちらか一方だけに属する状態ではなく、両者の「あいだ」で往還的に成立する関係を指します。主体、身体、環境、媒体、他者、制度などの関係全体に現れる性質として捉えます。
人は、環境に働きかけ、環境から働きかけられながら、自らの世界を生きています。本研究室では、その関係が動的に形成され、変容していく過程を研究します。
現代を生きる人間は、一つの環境のなかだけで生活しているわけではありません。
自宅と学校、自然と都市、個人と組織、対面とオンライン、物理空間と仮想空間、身体感覚とデータ表現など、異なる性質を持つ環境やシステムのあいだを日常的に往還しています。
その移行は、単なる場所や画面の切り替えではありません。注意、身体感覚、他者との距離、自己認識、行為の可能性など、経験の全体が変化します。
通態力学は、心理、身体、技術、空間、制度を分離したまま扱うのではなく、相互に関係する一つの全体として捉えようとします。
Academic Definition / Draft v1.0
本研究室では、主体と環境が互いを成り立たせながら変化する場において、人が自然的、社会的、技術的、仮想的な環境を横断するとき、知覚、身体、情報、意味、行為および関係の全体的なまとまりが、どのように形成され、安定し、揺らぎ、再編されるのかを探究する学問を「通態力学」と呼びます。
平易な定義: 通態力学は、人が異なる世界を行き来するとき、人と環境の関係や、ものの見え方、感じ方、行動のまとまりが、どのように変わるのかを探る学問です。
名称が何を意味し、何を研究対象として開くのかを示します。
主体と環境のどちらか一方だけに属する状態ではなく、両者の「あいだ」で往還的に成立する関係を指します。主体、身体、環境、媒体、他者、制度などの関係全体に現れる性質として捉えます。
空間、身体的負荷、他者からの期待、規範、記憶、愛着、情報、インターフェース、制度、アルゴリズムなどが、関係全体を一定の方向へ導く働きを扱います。
知覚、身体、感情、記憶、環境、情報、他者、意味、行為などが互いに関係し、一つの経験可能な全体として組織化された状態を指します。
図の中心に固定された主体を置くのではなく、関係全体のなかで主体と環境が相互に形成される様子を表現します。
通態的な関係の生成から再編までを、連続する過程として捉えます。
主体、環境、媒体、他者の関係から、経験可能なまとまりが立ち現れる。
一定の行為、意味、知覚のパターンが維持され、環境との関係が習慣化する。
移動、技術、制度、他者、出来事によって、既存のまとまりが不安定になる。
関係の配置が変わり、新しい見え方、意味、行為の可能性が生まれる。
通態力学は、環境心理学と人間環境学を主要な基盤としながら、ゲシュタルト心理学、現象学、生態心理学、認知科学、社会心理学、身体論、情報学、デザイン学、建築・都市研究、地域研究など、複数の領域と接続します。
既存の領域を単に集めることが目的ではありません。異なる領域の知見を、人と環境の全体的な形成と変容という共通の問いのもとで組み直し、新たな概念、方法、実践へ展開することを目指します。